藤田紘一郎氏の「脳はバカ、腸はかしこい」を読んだ。
「脳はバカ、腸はかしこい」とは、一番分かりやすい例をあげると、脳は快楽の為に、暴飲・暴食したり、酒を飲んだり、タバコを吸ったりするが、腸は、体内に悪いものが入ってきても、文句も言わずに、せっせと消化・排出し、下痢という形で警告まで発してくれるということです。
私は、この本を読んで、全く、医学的なこととは関係ないのですが、「損得勘定は日本を滅ぼし、覚悟は日本を救う」という言葉が思い浮かびました。
頭は、理性的・合理的に考えることも出来ますが、大半の人は、快楽や損得勘定に振り回されています。しかし、それでも、自分は理性的・合理的・まともに考えていると、錯覚している人が大多数なのではないでしょうか。
それに対して、腹は、「腹を決める」「腹をくくる」という言葉が有るように、古来より、意志や覚悟を象徴する場所であり、東洋医学では「丹田」という下腹の内部にあり気力が集まる所が、健康に大きく関わっているとされています。
この本の中では、少子化・非婚化について、女性の結婚相手に求める条件が、三高(高収入・高学歴・高身長)といわれるほど高くなり、結婚を頭(損得勘定)で考えすぎるがゆえに、結婚に踏み切れなくなっているのではないか、と書かれています。その対策としては、愛すること、楽しむことを大切にする、頭で考えすぎないフランス人やフランスの法制度を見習うことなどが挙げられています。
私は、他に、自分の選択に対する覚悟の問題もあるように思います。昔は、自分の意志に反して、いいなずけと結婚させられたり、見合い結婚が多かったにも関わらず、今より離婚の数は少なかったというのは、現代人よりも昔の人の方が、腹が据わっていた(覚悟を決めていた)からではないでしょうか。
結婚を損得勘定でとらえることで、少子化・非婚化が加速されると、人口減少社会から、日本の国は地方から消滅していくことが、避けられない状況まできています。
もう一つ、私は、信仰も、覚悟が一番大事なのではないかと、思っています。
日本以外の多くの国の人々は、信仰は選択するものではなく、家や共同体・国の宗教を継承し信仰することに対して覚悟を決めているといえます。
最近、先祖供養の儀式である「葬式は要らない」などと言われますが、その論拠は、戒名料が高い、葬式に費用がかかりすぎるといった、損得勘定が基になっているようです。
宗教・信仰を、理性的・合理的に、選択できれば良いのですが、損得勘定を拠りどころにして、日本人の信仰の根幹であると私が考える「先祖供養」を捨てるならば、日本人の持つ信仰心・美徳・道徳心・倫理観・おもてなしの精神などは失われていくと思います。
おもてなしの精神をアピールし招致した、2020年東京オリンピックまでの間に、今後も、損得勘定で、先祖供養をないがしろにしていけば、日本人のおもてなしの精神のみならず、世界に誇る日本の治安も失われていくのではないかと、個人的には、危惧しています。
結婚と信仰について、損得勘定にまみれた脳を過大評価するよりも、腹をくくるという覚悟を持てば、日本は救われるのかもしれません。