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2015年3月6日

和食と日本人の信仰心の危機

先日、グルメ番組を見ていると、和食のユネスコ無形文化遺産登録に尽力された老舗料亭「菊乃井」主人村田吉弘氏が、「和食の真髄は、だしのうまみであり、かつお節と昆布から取っただしの味は、我々日本人の味覚のDNAに刻まれている」と、語っておられた。

真言宗の坊さんである私は、日本仏教の根本は、葬式、供養などの死者を弔う儀式や先祖に対する感謝の気持ちであり、それは、日本人の信仰心に刻み込まれていると思っている。

現代の日本では、だしを取らないで料理をする家庭も多いし、子どもの好きな料理で挙げられるのは、カレー、ステーキ、ハンバーグ、ラーメンなどの和食以外が多い。だからといって、和食は要らないということにならないのは、誰もが分かることだ。

家に仏壇が無かったり、ごく一部の特殊な寺が高額な戒名料を請求するからといって、「葬式は要らない」などと儀式を軽んじてしまうと、先祖に対する感謝の気持ちは無くなり、日本人が古来から持つ信仰心を捨てることになるのではないか。

村田吉弘氏は、和食文化の衰退に危機感を持っておられ、無形文化遺産登録から、学校給食の見直しなどの行動を起こしておられる。

私も「葬式は要る」ということを、このブログで言い続けていきたいと思う。