十月より月に一度、お寺で写経会が始まりました。般若心経を手本にして上からなぞるやり方で、皆さんだいたい四、五十分で書き上げられます。家庭とはまた違った雰囲気の中で、何かに集中する時を持つ事もまた、日々の生活にアクセントを付けてくれるものなのかもしれません。
さてその写経ですが、昔からお坊さんの修行のひとつとして、行われてきたようです。折角なので、最後に何か解説させていただくのですが、これがなかなかまとまらなくて大変です。何分、仏教の長い歴史を僅か二百六十二文字に凝縮し、簡潔な表現でそのエッセンスを取り出しおり、構成的にもよくまとまっているようですが、余りにも短いだけに、その解釈もさまざまに読み解かれている様です。宗祖空海さんは、密教的に読まれています。
それは、釈迦が説いた緻密で合理的な世界観をある意味で否定し、さらに発展させ、神秘性を持ち込み、とても有り難いものとして、一般の誰にでも実践できる道として提示したのでした。それは時が経ち、世の中が変化し価値観も多様化した、時代の要請でもあったのでしょう。
お経といえば般若心経というくらい、我が国ではポピュラーで人気があるようです。この機会に是非、お寺に足を運んでみてください。